SOCとは?企業の導入背景やメリット、CSIRTとの違いを解説

 2022.06.29  2022.07.07

企業向けのネットワーク機器やシステム環境が多様化する現在では、企業の大切な情報資産を守るための対策が必要不可欠です。セキュリティが不十分の状態では、第三者に企業の機密情報が洩れてしまうなど、企業にとって甚大な被害が起こりうる危険性があります。そこで注目されるのが、企業のネットワークやシステムを監視・分析するための組織体制「SOC」の導入です。最近では、SOCの設置を進める企業が増加傾向にあり、今後もSOCの需要は高まっていくと予想されます。ここでは、SOCの基本的な情報から、導入するメリットなどを解説します。

SOCとは?

SOCとは、「Security Operation Center」の略称で、企業に起こりうるサイバー攻撃の検出や分析を行い、対策方法を提案する専門組織のことです。セキュリティ製品やネットワーク機器、サーバーなどのログについて、監視・分析を行い、セキュリティリスクやサイバー攻撃の影響範囲の特定、具体的なセキュリティ対策の検討や関連各所へのエスカレーションといった業務が主となります。

SOCの需要が高まった背景

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やコロナ禍の影響によるリモートワークの導入など、社員の働き方や企業を取り巻くIT環境が多様化しています。

自社が所有するサーバーやパソコンの他にも、クラウド環境の利用やスマートフォンやタブレット、仮想デスクトップなど複数の端末を使用するケース、また、社員の自宅からVPN接続で業務を行うケースもあり、企業の情報資産に多方面からアクセスが可能な環境へと変化していることがわかります。

しかし、デバイスや接続形態の多様化と同様に、サイバー攻撃も多様化が進み、今や世界中からあらゆる手段で企業の情報が狙われ、サイバー攻撃を受ける危険性が高まっています。

このようなサイバー攻撃による被害を防止するために、企業のセキュリティレベルを向上させるSOCの必要性が急速に高まりつつあるのです。

SOCとCSIRTとの違い

企業におけるセキュリティ対策組織として、SOCの他にCSIRT(シーサート)と呼ばれる組織も存在します。

CSIRTとは「Computer Security Incident Response Team」の略称で、情報セキュリティにおけるインシデント調査や対応を行う組織です。SOCと混同されやすいCSIRTですが、緊急事態などのインシデントが発生した際の対応に重点が置かれています。

一方、SOCは、企業にとって脅威となるセキュリティリスクやサイバー攻撃の速やかな検知に重点を置き、それぞれ役割の異なる組織となります。

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SOCの機能

SOCでは、ファイアウォールやIPS/IDSといったセキュリティ製品の他に、ネットワーク機器yやサーバー、エンドポイントなど、業務に関連するさまざまなデバイスのアクティビティについて、通常24時間365日体制の監視を行います。多くのSOCでは、ログの一元管理や相関的な分析を行うため、SIEM(Security Information and Event Management)と呼ばれるシステムを利用し、監視体制を構築しています。

SIEMは、集約されたデバイスのログを、事前に登録されたルールをもとに分析を行い、セキュリティインシデントを検知した場合、SOCへアラートを通知します。

SOCでは、SIEMからのアラートをもとに、セキュリティインシデントの影響範囲や原因などについて、分析・特定を行い、インシデントへの対策検討やセキュリティ対策の提案、関連組織への連携などを行います。

SOCを導入するメリット

膨大な情報資産を抱える企業において、有効なセキュリティ対策のひとつとして考えられているSOCですが、SOCを導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか?

業務の効率化

SOCを導入されていない企業の多くでは、情報システム管理者やエンジニアが、通常の業務とセキュリティ管理業務を兼務されていることが実状かと思います。セキュリティ対策には専門的な知識を要するため、兼務での対応を行うとなれば、担当社員への負担も大きく、業務量が増加することにより、長時間の残業につながるケースも考えられます。

セキュリティの専門組織となるSOCを導入することで、社内の情報システムやネットワークに関連するセキュリティ対策については、すべてSOCに一任できるため、これまでSOCの役割を兼務していた担当社員は、本来の仕事に集中しやすくなり、セキュリティ管理業務に充てていた時間を、他の業務に充てることができるなど、総合的な業務効率化が期待できます。

情報資産の保護

デバイスやネットワーク機器、クラウド上のアプリケーションなど、ビジネスに活用するものすべてに、企業の情報資産が含まれます。サイバー攻撃は日々巧妙化しており、企業は大切な情報資産を守るため、常にセキュアなIT環境を保つことが求められます。

SOCでは、業務に使用するさまざまなデバイスを一元管理できるシステム(SIEM)を活用し、アクティビティの監視や分析をリアルタイムで行っています。デバイスを一元管理することで、管理コストの低減が見込めるほか、不正アクセスの状況などをくまなくチェックし、情報資産を保護するため必要な対策を講じることが可能となります。

SOCを導入することが、サイバー攻撃などの被害予防策となるほか、万が一被害を受けた場合にも、迅速に対応できる体制が整っているため、被害を最小限に抑えることにつながります

セキュリティ対策のレベルアップ

近年、大企業だけでなく中小企業を狙ったサプライチェーン攻撃も増加傾向にあり、企業規模に関わらずサイバー攻撃の危険性が高まりつつあるなか、セキュリティ対策を怠ることはできず、中小企業を中心としたすべての企業で情報セキュリティへの対策が急務となっています。

SOCでは、セキュリティに対する高度な知識と経験をもった人材が業務にあたっているため、SOCを導入することで、専門的な観点から企業の情報資産に対する適切なセキュリティ対策を行うことができ、企業のセキュリティレベルが相対的に向上します。

SOC導入の注意点

SOCを導入するためには、綿密な設計が必要となりますが、注意すべき点として、以下の要素が挙げられます。

SOCの定義

SOCはセキュリティ関連組織といった性質上、本来の業務であるセキュリティインシデント対応以外のセキュリティ業務についても、対応を期待されることが懸念されます。SOCを組織する場合は、SOCの任務や課題を明確にし、対応内容やその業務範囲について、具体的に調整のうえ、SOCの責任範囲を定義する必要があります。

プロセスの明確化

自社環境にあわせたSOCを構築するために、前述の定義に基づいたSOCの働きをサポートするうえで必要な、業務に必要な作業手順やテンプレート、プロセスを特定し、明確な文書を作成する事が重要です。

監視対象の特定

監視する技術がどのような分野であるか、使用事例をもとにどのようなタイプのデータを受信することになるのか、そしてどのような顧客が対象かなど、SOCが適切に異常を検知するために基本的な情報を整える必要があります。また、これらの情報をSOCのメンバーに理解させることも重要です。

人材の確保

SOCを運用するためには、セキュリティに対する高度な知識と経験を持つ人材の確保が必要です。受付時間やシフトごとに必要な人員を選定し、異常をすみやかに検知・分析でき、対策を考案できるように配置することが望ましいですが、社内リソースで人材の確保が難しい場合には、外部への委託も検討する必要があります。

イベントの管理

SOCが受信する警告や通知などのイベントの分類や、優先順位付けといったルールを、環境にあわせて適切に設定する必要があります。

SOCアウトソーシングサービスの活用

多くの企業では、情報セキュリティに対する幅広い技術力とノウハウを持つ人材が不足しています。そのため、SOCを構築する際に必要なセキュリティ管理を行う人材の確保や育成、SOCの適切な評価・動機づけなどは非常に難しく、特に中小企業にとっては実現が厳しい課題ともいえます。自社でSOCを構築し、その後も適切に運営していくとなれば、より多くの負担がかかるでしょう。

また、年々巧妙化するサイバー攻撃は、発見や対応の遅れによって被害範囲が拡大しやすいため、闇雲にSOCを導入するのではなく、企業内で適切な構築と運用ができるSOCの導入が必要不可欠です。

よりセキュアな環境を作るためには、SOCのアウトソーシングサービスを活用し、より高度なセキュリティ対策を行うことも一つの手段といえるでしょう。

まとめ

インターネットビジネスの普及により、企業の情報資産が扱いやすくなった反面、多方面から攻撃されてしまう危険性を常に意識する必要があります。企業にとって大切な情報資産を守るためにも、SOCをはじめとしたセキュリティ対策組織を導入し、万全なセキュリティ対策を行うことが求められます。

人材不足などの問題から、SOCの導入がどうしても難しいという企業では、包括的なセキュリティサービスを提供するSOCのアウトソーシングサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

EGセキュアソリューションズでは、年々高度化・頻発化するサイバー攻撃に対して、IT基盤を常に監視しながら攻撃内容を脅威分析まで行う「SOCサービス」を提供しております。サイバー攻撃の検出や分析をお客さまに代わり、24時間365日体制で行うSOCサービスは、導入・運用の負荷が少なく、高品質なリスク検知と運用体制を実現することができます。SOC導入の際には、ぜひ当社のソリューションをご検討ください。

 


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