近年のIoT技術やAIの発達により、インターネットを活用した企業活動がビジネスの基本となりつつあります。しかし、インターネットという通信手段によって企業の情報資産にアクセスできるということは、第三者による攻撃も発生しうるということになります。インターネットを活用したビジネスを展開する上では、情報セキュリティ対策にも注意を払わなければなりません。適切なセキュリティ対策を行い、効果的にインターネットビジネスを展開しましょう。
情報セキュリティ対策とは
情報セキュリティ対策とは、パソコンやインターネットを安全に使用できるよう、また企業や個人に関する重要なデータをサイバー攻撃から守るための取り組み、対策のことです。
昨今、顧客情報や機密情報は全てデータ化され、パソコンやインターネットを使って管理している企業がほとんどでしょう。私たちは、いつでもどこからでも様々な情報を利活用できるようになっていますが、これらの重要データは安全に管理されている必要があり、情報セキュリティ対策は非常に重要です。
企業の情報セキュリティ対策で、社内外からの攻撃や不正に対しては、顧客・機密情報漏洩やウェブサイトの改ざん、ウイルス感染などを防止することが求められます。
企業が情報セキュリティ対策を行う必要性
企業において、パソコンやサーバー、クラウドサービスなどの利用が増えれば増えるほど、さまざまなルートから大切な情報資産にアクセスできるようになります。その結果、第三者による攻撃を受けてしまう危険性も高まってくるのです。
一度サイバー攻撃を受けると、情報漏洩有無の確認や対策、各種サービスの復旧対応に追われることとなり、通常業務に支障をきたします。さらに復旧対応が長引けば長引くほど、業務が滞り企業に大きな損失が発生します。また、情報漏洩によって取引先や顧客情報が流出してしまった場合、利益損失だけでなく社会的信用も失うことになります。
形のない情報資産を守り、有効に活用するためには、電子化されたデータの取り扱いに関する知識やインターネットを安全に利用するための対策が必要不可欠です。
しかし、情報セキュリティ対策が徹底されている大手企業に比べて、中小企業の情報セキュリティ対策が進んでいないという実情があります。
最近では、企業規模に問わずサイバー攻撃は多発しています。インターネットを用いた事業展開を行う上では、企業規模や業種に関係なく取り組まなければならないものと認識し、適切なセキュリティ対策を行うことが重要です。
情報セキュリティ対策マップを作成し、分析と対策を
適切な情報セキュリティ対策を行うためには、情報資産や自社のシステム構成などを把握し、対策を行うことが重要です。
企業で情報セキュリティ対策を取り入れるには、第一歩として「情報セキュリティ対策マップ」を用いて、起因別に想定されるセキュリティ事故から解決までの道筋を考えてみましょう。
情報セキュリティ上のトラブルの原因は、「内部要因」と「外部要因」の2つに分けられます。情報セキュリティ対策マップを作成するにあたり、理解しておきたい「内部要因」と「外部要因」について解説します。
情報セキュリティ上の内部要因
情報セキュリティ上の内部要因とは、企業内でセキュリティ事故が生じることを指します。企業の情報漏洩問題は、第三者による不正アクセスによるケースよりも、従業員のミスによる内部要因であるケースが多いとも言われています
入退室管理をICカード化するなど、情報が持ち出されないように物理的な対策を取っている企業もありますが、それでも情報漏洩などのトラブルが減少しない原因は、人的要因にあります。
例えば、従業員による情報紛失や置き忘れなどはよくあるケースです。機密情報が入ったUSBメモリを社外で紛失してしまったり、業務に使用しているパソコンなどの端末が盗難に遭ったりすることで、本来社外に漏れない情報資産であるものが、第三者の手に渡ってしまうのです。
また、社外にデータを持ち出していないにも関わらず情報漏洩が起きるケースとしては、各種デバイスの設定ミスや操作ミスが考えられます。設定ミスにより、誰でも企業データにアクセスできる状態になっていたり、誤操作で設定を変更したりすると、第三者に自ら情報を提供しているのと同じ状態となってしまいます。
他にも意図的なデータの持ち出しによる内部犯罪が問題になることもあります。情報漏洩であるからといって、外部要因と決めつけず、内部要因でないかを検証することも大切です。
情報セキュリティ上の外部要因
外部要因とは、第三者からの攻撃が原因となるセキュリティ事故のことです。外部要因の中でも特に注意したいのが、不正アクセスとウイルス感染です。
第三者による不正アクセスは、ソフトウェアや使用しているサーバーの脆弱性をついたものです。システム内に一度侵入されると、企業の機密情報を持ち出されて情報漏洩につながる他、データの破壊や改ざんが行われてしまいます。
ウイルス感染などは個人でも起こりうるトラブルですが、業務で使用している端末がウイルスに感染してしまうと、膨大なデータ量が破損しかねない他、同じ企業内に感染が拡大したり、企業が運営するウェブサイトを通じて顧客にまで感染が拡大したりするケースがあるなど、多くのデバイスが危険に晒される恐れもあります。
他にもなりすましや盗み見・盗聴といった不正行為も外的要因に含まれます。
明確な悪意のある外部要因であればあるほど、一件あたりの被害が大きくなるため、十分な情報セキュリティ対策が求められます。
情報セキュリティ対策の具体的な方法
情報セキュリティ対策を考える際は、セキュリティ事故を防止するための「予防対策」、いち早く検知するための「発見・対策」、万が一事故が発生した場合に、被害を最小限に抑えるための「事後対策」の3つの対策が重要となります。
これらの対策をバランス良く行うことで、より高いセキュリティレベルを保つことができます。
情報セキュリティを強化するために必要な対策方法を、内部対策と外部対策のそれぞれに分けて具体的に解説します。
情報セキュリティの内部対策
内部要因に対する情報セキュリティ対策を行う際は、はじめに物理的対策を徹底しましょう。
物理的対策とは、建物や設備など、従業員が日常的に使用するものへのセキュリティ対策を行うことです。不審人物の侵入を防ぐためには、ICカードや生体認証を用いた入退室管理システムの導入や防犯カメラの設置、警備システムを検討しましょう。
次に、企業機密が外部に漏れないよう、記憶装置などのデバイス制御やアクセス権限の設定、パスワード管理を見直しましょう。また、メールによるウイルス感染、標的型攻撃を防ぐためにも、企業や従業員個人宛に送られてきたメールは、メールそのものや添付ファイルなどが安全であるかどうか見極め、開封するよう徹底しましょう。定期的な訓練を実施するのも効果的です。
また、情報の紛失や操作ミスによる情報漏洩を防止するためにも、企業情報の外部持ち出しを禁止し、社員教育の徹底によるセキュリティリテラシーの向上に努めることも重要です。最近では、スマートフォンやタブレットを業務に活用する機会も増えています。働き方に変化がある中で、このようなモバイル端末の取り扱い管理、対策も徹底する必要があります。
意図的な情報の持ち出しを防ぐためには、秘密保持に関する誓約による抑止を図ることも大切です。一丸となって、組織としてのセキュリティ意識を高めることができるかがポイントです。
情報セキュリティの外部対策
外部からの攻撃に対する情報セキュリティ対策として、ウイルス対策と不正アクセス対策はとても重要です。
ウイルス対策ソフトを導入していても、更新を怠っていると新たなウイルスに対応できず、ウイルスの侵入を許してしまいます。ソフトウェアやOSは定期的に更新を行い、新たなウイルス、攻撃に対応できるよう常に環境を整えておくように心がけましょう。
外部からの不正アクセスを防止するためには、ファイアウォールやWAFなどのセキュリティ対策システムを導入し、外部からの侵入を検知・防御することが大切です。
外部からの攻撃は一つではありません。インターネットへ接続しているシステムは、様々なサイバー攻撃を受ける可能性があります。ウイルス対策であれば、メールサーバーやプロキシによるゲートウェイ対策と、パソコンやサーバー側でのエンドポイントでの対策を組み合わせる。ウェブシステムの対策であれば、ファイアウォールとWAFを併用するなど、複数の対策を組み合わせることでより効果的な情報セキュリティ対策を実現することができます。
<まとめ>情報セキュリティ対策を進めて企業活動を安全に進めよう
インターネットを活用したビジネスは、企業の在り方や従業員の働き方の多様化につながりました。同時に企業が保有している様々な情報が、危険に晒されやすい環境になったともいえます。企業活動を安全に進めるためにも、情報セキュリティ対策を徹底するようにしましょう。
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