トロイの木馬による被害
次に、トロイの木馬による被害の実態を見ていきましょう。トロイの木馬がパソコン内に侵入してしまうと、実際にどのような被害を受けることになるのか、その特徴や機能を解説していきます。
重要情報の窃盗
トロイの木馬による被害としてよくあるのは、個人情報などの重要情報の窃取です。トロイの木馬はパソコン内で個人情報などを収集し、外部に送信して情報を流出させます。
個人の場合、クレジットカード情報を不正使用されていたり、身に覚えのない金額の請求が届いていたとすると、トロイの木馬に感染している可能性が考えられます。個人情報が流出したことで、情報を悪用されているのです。
企業の場合、被害はより甚大なものとなります。例えば顧客情報を管理するパソコンがトロイの木馬による被害を受ければ、大規模な個人情報流出につながる恐れもあります。そうなると、一個人では対処しきれない範囲まで被害が広がることになります。
バックドアの設置による遠隔操作
トロイの木馬による被害には、バックドアの設置に都合が良いということも挙げられます。トロイの木馬は、前述のとおり無害なファイルやアプリを装って、ひっそりと侵入するため、バックドアを仕込むのに都合が良いのです。
他のWebサイト攻撃のための踏み台
トロイの木馬は、他のWebサイトを攻撃するための踏み台としてパソコンに侵入する場合もあります。勝手にスパムメールを大量送信したり、感染先をプロキシ化してIPアドレスを悪用したりするなど、他者を使って勝手に攻撃していくのです。
これによりトロイの木馬の被害者自身が、知らない間に加害者の立場となってしまう(そのように見られてしまう)こともあるのです。トロイの木馬は自己複製こそしませんが、遠隔操作などを経て、被害を拡大させていくのです。
トロイの木馬のセキュリティ対策
最後に、トロイの木馬の被害を受けないために、個人や企業が徹底するべき対策を解説していきます。トロイの木馬への理解を深めたうえで、必要な対策を実施していきましょう。
ウイルス対策ソフトの導入
トロイの木馬は、ウイルス対策ソフトなどのセキュリティソフトをインストールしていないと検出することは困難です。もはや当たり前となっているウイルス対策ソフトを必ず導入するようにし、定義ファイルやソフトウェアは最新のバージョンを利用するようにしましょう。
既にトロイの木馬の感染が疑われる場合も、まずはウイルス対策ソフトで、素早く不正なプログラムを検出して駆除する必要があります。ウイルス対策ソフトなどでセキュリティスキャンを行うと、パソコンから削除すべきプログラムなどが表示されるようになっています。画面の指示にしたがって、トロイの木馬は早急に駆除するようにしましょう。
さらに、感染の疑いが見られるデバイスは、ネットワークや社内システムからすぐに隔離することが大切です。Wi-Fi接続をオフにする、LANケーブルを外すなどの基本的な対処も必要です。ネットワークに接続されたままの状態だと、勝手に外部に情報を送られたり、不正な遠隔操作を受けたりする恐れがあります。
従業員の意識改革
トロイの木馬は、パソコンを操作するユーザーの不注意を巧みに悪用したプログラムといえます。開こうとしているものが健全なファイルか、提供元が確かなアプリケーションか、事前の確認を怠ったがゆえにパソコン内に悪意のあるプログラムを招き入れてしまう、それがトロイの木馬の怖さです。
そのためトロイの木馬の被害を防ぐためには、従業員全体に対して、セキュリティ教育と管理を徹底していく必要があります。ファイルやアプリケーションをダウンロードする際の確認フローを用意したり、意識改革のための研修を実施したりするなど、社内全体でセキュリティ認識を高めていくことが重要です。
Webサイトの保護
トロイの木馬の感染・被害をきっかけに、Webサイトが攻撃者に悪用されることがあります。Webサイトを改ざんして、不正なプログラムを配信する攻撃サイトへ誘導するなど、Webアプリケーションの脆弱性を悪用したサイバー攻撃もあります。
Webアプリケーションを保護する有効なソリューションとして、WAF(Web Application Firewall)があります。WAFは、ウェブアプリケーションの脆弱性を悪用するサイバー攻撃を検出・防御し、Webサイトを保護するためのセキュリティ製品であり、Webサイトの運営において、セキュリティレベルの向上に効果を発揮します。
まとめ
トロイの木馬は、ユーザーに気付かれないようにコンピュータに侵入し、悪事を働くという特徴があります。トロイの木馬に感染すると、知らない間に個人情報を盗まれたり、他者のWebサイトやパソコンを攻撃する踏み台として悪用されたりする恐れがあります。
いかがでしょうか。ここまで、個人の情報やパソコンを守るという視点だけでなく、企業やWebサイト運営者の視点で有効な対策についても解説してきました。
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