サイバー攻撃の手法が多様化している中で、セキュリティ対策ソフトの導入はもはや常識になっています。しかし、セキュリティ対策ソフトにもいろいろな種類があるため、選択することを煩わしく感じていないでしょうか。
そこで、本稿ではセキュリティ対策ソフトの特徴と検討する際のポイントについて解説していきます。
※本稿では、不正なプログラムからパソコンやサーバーを守るソフトウェアのことを「セキュリティ対策ソフト」と呼称しています。
セキュリティ対策ソフトとは
セキュリティ対策ソフトとはどういったものなのか、あらためて整理しておきましょう。
セキュリティ対策ソフトとは、ウイルスやスパイウェアといった、悪意のあるプログラム(マルウェア)からパソコンやサーバーを防御するソフトウェアのことを指します。アンチウイルスソフトとも呼ばれます。
ウイルスの特徴を記録した「パターンファイル(ウイルス定義ファイル)」と、パソコンやサーバー上でやり取りされているファイルアクセス、動作を照合することによって、不正プログラムを検出し、製品によっては駆除まで行なうことができます。
セキュリティ対策ソフトの検討ポイント
セキュリティ対策ソフトにもいろいろな種類があるので、それぞれの特徴をよく理解しておく必要があります。ここでは、いくつかの見るべきポイントを列挙していきます。
ウイルス検出率
セキュリティ対策ソフトの最も大きな役割は、ウイルスを見つけ出し、パソコンやサーバーがウイルスに感染するのを未然に防ぐことにあります。
そのため、ウイルスをどの程度検出することができるのかを表す検出率は重要な要素となります。開発メーカーが数値を公表していない場合には、使用しているユーザーの評価や第三者機関がまとめている資料を参考にしてもよいでしょう。
サポート体制
セキュリティ対策ソフトを購入しただけでは、使用方法やトラブルが発生した時の対処で困ることがあります。
そのため、開発元や販売代理店によるサポートも重要なポイントの1つです。マニュアルには専門用語が多く使われていて疑問が生じたり、操作方法に迷ってしまったりすることも少なくありません。電話やメール、チャットなどでリアルタイムにサポートしてくれる会社の製品を選ぶのがよいでしょう。また、用語集や製品サイトのブログ、QAなどによる情報が充実している製品もありますので、確認するようにしましょう。
動作の軽さ
動作の軽さも重視すべきポイントです。パソコンの性能は向上しているため、可能性は低くなっていますが、ウイルス対策ソフトをインストールすることで、パソコンの動作が重くなってしまうことがあります。
原因はさまざまですが、単純にパソコンのスペックが不足している場合もあれば、ソフトが多機能すぎるあまり、パソコンの通常動作に影響を与えてしまうケースもあります。パソコンの反応が遅くなると、ストレスになるほか、作業にも支障が出てしまいます。
事前にトライアル版などを利用し、動作上の問題がないかきちんと確認するようにしましょう。
最新ウイルスへの対応の速さ
ウイルスにも流行りがあり、Webサイトを閲覧しただけで感染するドライブバイダウンロードやネットバンキングから不正送金するウイルス、ファイルを暗号化し身代金を要求するランサムウェアなどさまざまあります。
日々、新しいウイルスが発生するため、それらに素早く対処できるようにパターンファイルが更新されるか、ゼロデイ攻撃のような未知のウイルスを検出する機能を持っているかどうかを確認する必要があります。少しの対応の遅さが、甚大な被害につながってしまうのがサイバー攻撃です。
新たな脅威に対して、迅速に対応してくれるセキュリティ対策ソフトが望ましいです。
複数端末を集中管理
個人向けの製品では、パソコンごとにインストールとアップデートの作業が必要となります。
インストール作業は初回のみですが、セキュリティ対策ソフトは頻繁にアップデートが発生します。企業で導入し、そのアップデート作業を従業員に任せきりにしていると、正しくアップデートが実行されない可能性があります。
企業で導入を行う場合には、法人向けのライセンスを契約して、複数台の集中管理が可能かどうかを事前に確認しておきましょう。
ファイアウォール
ネットワークの境界で通信の行き来を監視するファイアウォールのほかに、パソコンやサーバーに導入してコンピュータ自身を保護するパーソナルファイアウォールがあり、セキュリティ対策ソフトには、パーソナルファイアウォールの機能が実装されていることが一般的です。
ネットワークを保護するファイアウォール同様に、外部から侵入してくる不正なアクセスを防御することで、ウイルスの侵入などからパソコンを保護することができます。通常、パソコン初心者やセキュリティに詳しくない人でも使えるように予め推奨されるルールが設定されています。
ランサムウェア対策
ランサムウェアとは、利用するコンピュータやファイルを強制的にロック・暗号化することで、復元の条件とともに身代金を要求する不正プログラムのことを指します。
Webサイトやメールなど感染経路はさまざまですが、エンドポイント向けのセキュリティ対策ソフトを利用することは、ランサムウェアに有効です。
ネットバンキング保護
ネットバンキング保護とは、ネットバンキングを利用した不正送金を予防するための機能のことです。攻撃者はキーボードへの入力情報からIDやパスワードを盗んだり、偽の銀行サイトへアクセスさせて個人情報の入力を促したりする、悪質なものです。
ネットバンク保護機能に対応しているセキュリティ対策ソフトであれば、銀行や証券会社などのサイトをより安全な状態で利用できます。
フィッシング対策
フィッシングとは、有名企業を偽って偽のURLへ誘導し、個人情報を入力させる詐欺のことを指します。メールやSNSなどを用い、アカウント情報の更新などを装って、ユーザーが利用しているIDやパスワード、クレジットカード情報などを盗み取ります。
クレジットカード情報を盗まれた場合、ネットショッピングなどで勝手に悪用されてしまうという事例もあります。
迷惑メール対策
セキュリティ対策ソフトに含まれる迷惑メール対策機能によって、セキュリティ的に危険だと判断したメールを自動でブロックしたり、隔離することができます。また、受信したメッセージは自動で専用のフォルダに移動されるため、誤って開いてしまうというトラブルを避けることができます。
まとめ
今回の記事では、セキュリティ対策ソフトを検討する上でのポイントを解説しました。
サイバー攻撃が多様化してきている現在、セキュリティ対策ソフトを導入することは当たり前となっています。今回ご紹介した点を参考にしながら、利用目的や環境に応じて最適な製品を選択するようにしてください。
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